シンデレラの王子は。
それなのに高橋くんはどこか楽しそうで、点数の差が開いても諦めない姿勢はホントかっこいい。べ、別に深い意味はなくて、単純にねっ。
試合終了20秒前。17点差。
もう架嗄のチームの勝利はほぼ確定しているのに、鳴り止まない歓声に身震いした。歓声の理由はというと……架嗄からボールを奪った高橋くんにあった。閃光の如くボールをつき走る高橋くん。すぐに反応して追いかけるけど、もう遅い。残り僅か1秒。
3回ついてからボールを投げるの。入れ!!って会場にいる大多数の人が思ったと思う。
『ガコンッ、シュッ…ダンッ、ダンッ、ダンッ』
ブザーと同時にリングに1度当たってから吸い込まれていった。
ブザービート……
これで見たのは2回目。
あと1つは祐紗兄の彼女が試合を観に来ていた時に、祐紗兄がかっこつけてわざとブザーが鳴るまで時間稼ぎしてやったシュート。アタシから観たら全然かっこよくなかったけれど、彼女は大喜びだったみたい。
そんな計算されたプレーは好きじゃない。
ただただ夢中でボールを追い掛けて、一生懸命なプレーが好き。かっこつけてなくたって、すごくかっこよく映る。
試合終了。
勝者は架嗄のチーム。=全国大会の王者。