シンデレラの王子は。

準優勝は高橋くんのチーム。
試合が終わると優勝カップ授与やら、なにやらを行った。
携帯のマナーモードを解除すると同時に受信メールを確認。
『会場の出入口にて待つ!!』
お題かっ!!架嗄からのメール。
どっちにしろ出入口には行かないとここから出られないから、一応向かうことにした。
結局、空未は来なかった。空未ごめんね、ホントに。逃げるというか、あそこにはもう居られる自信がなかったの。だから、かっこつけて背を向けながら泣いて出てきちゃった。今頃、どうしてるのかな……
あとで空未にお詫びの印として、架嗄の写メ送ってあげよう。
空未なら、アタシの気持ち解ってくれるよね?
あのまま一人でいたら、苦しくて、苦しくて、潰れてしまいそうになるの。こんな想いに遭遇してしまったのは間違いだった。
なんて後悔するような恋は嫌。だから、アノ時先生に聴こえそうもない声で背を向けて言ったんだよ。
“先生がアタシの初恋でよかったよ”
ウソじゃないよ。どうしても嫌いになれなくて、どうしても想いを届けたくて、今見た景色を全部伝えたく、隣にいつでもヒラヒラと飛んでいきたくなる。
どうして先生じゃなきゃダメなんだろう。

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