シンデレラの王子は。

ふざけた口調で言うけど、アタシはあの日を思い出してしまって、無意識の内に震えが止まらなくなってしまった。
空未はそれを察して、とりあえず席に座ろうと言ってくれた。机にも黒板と同じ様な内容が落書きされてあり、空未はそれを消しゴムで消してくれた。しかし、書いてあることは全部事実だから、大声で『違う』と叫ぶことは出来なかったし、アタシの中からその事実を消すことは出来なかった。
「はょー」
能天気に欠伸をしながら、アタシと空未に挨拶をするのは、りっくんだ。
「そんな震えてどうしたんだよ!!大丈夫か?」
気付いてすごい心配してくれるところは、りっくんらしい。
本当はりっくんには言って欲しくなかったけど、時すでに遅く、空未が説明してしまった。
「何言ってんだよ。その時は神谷と僕、話してたから、そんな噂嘘だよ。なっ?」
りっくんはアタシのアリバイをわざと大声で言うと、みんなはざわざわと話を始める。
でもごめん、りっくん。
事が起こったのは、そのあとなんだ。でもそんなこと言えない。
「-----うーちゃん、」
その声は、アタシの背中を叩いた。
「アノ噂って……」
「ちょっと、あいあいまでそんな無神経なこと言うの?」

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