シンデレラの王子は。

「-----空未、いいよ。大丈夫。」
「だって、…ごめん」
教室には居辛い雰囲気が漂っている。
でも、空未とあいあいとりっくんはアタシの味方をしてくれて、一緒にいてくれるから、それほど辛くはなかった。
しかし、嫌がらせはエスカレートする一方。
ベタに登校して上履きに履き替えようとしたら、画ビョウが入っていたり、机の中に暴言を書いた紙が大量に入っていたり、体育の授業から帰って来たら教科書やノートが棄てられていたり、モノが無くなったり……
誰がそれをやっているのかは決して解らなくて、これはりっくん情報だけど、誰も目撃さえしていないらしい。
ある日、ふいに空未に訊かれた。
「-----羽海、言いづらいと思うけど、アノ噂の真相をくぅだけに教えてくれない?」
「-----ごめん、出来ない」
首を横に振った。
「誰かに話したら気持ち楽になったりするし、くぅと羽海は親友でしょ?……隠し事なしって言ったじゃん」
アタシが黙り込んでしまったせいで、家の中は静まり返ってしまった。
「話してくれないなんて寂しいよ…」
「-----多分、空未は引くもん。」
「引かないよ」
瞳を強く掴まれて振り払うことが出来ない。
アタシは観念して重い口元を開く。

< 138 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop