シンデレラの王子は。

アタシ達兄弟が学校の部活をやらずに帰宅し、それぞれのクラブチームに行くのため夕飯を口に駆け込んでいる時のことだった。
家中が忙しいムード。今は面倒なことをしてくるなオーラ。
そして、運命の呼鈴が鳴った。家族全員が『誰か出て』と目で訴えた。
結局、キッチンにいたママがタオルで手を慌ただしく拭きモニターに向かってはーい、といって玄関の鍵をあけた。ドアを開けるとスーツを来た色黒なおじさんが立っていた。
アタシ達からもその人の姿が見えて、祐紗兄がびっくりした顔でその人のことを見ていた。
「前の試合ん時話してきたおっさん!?」
祐紗兄はとっさに大きな声を出し、食事を途中で終わりにした。
「祐紗兄、知り合いなの?!」
「おぅ」
そう笑顔で返事をし、面識があるらしいおっさんのところへ行った。
「なんで、俺の家知ってんだよ。つーか、久し振りっすね」
「いろいろあってな。今日は練習ないのか?」
そのおじさんは祐紗兄とかなり親しげに話してて、アタシと架嗄は顔を見合わせて首を傾げ、黙々と支度をしていた。
「あるに決まってるじゃないすか。今からっすよ。
つーか、おっさん何者?」


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