シンデレラの王子は。
家に帰ってからの記憶はない。
ただ腕を引かれるままに彼の背中を追いかけてる映像が、頭の中をヘビロテしてる。
ふと目覚めると、時刻は正午12時を回っていた。でも今日は日曜だから焦る必要はない。
全部夢だったのかな?
琉葵さんの顔、覚えてない。というか、涙で滲んでたし、暗くて見えなかった。
夢だったのかな?
脳裏に浮かぶのはその事ばかり?ううん、先生のことばっかだよ。
「羽海ぃー。いい加減起きなさい、いつまで寝てるの!!」
「起きるー」
メルヘンモードだった脳内はママの大声とケータイの着信で欠き消された。
《着信》結城先生
見たくなかった。
でも、昨日のことが全部夢だったら?
そう思うと開かずにはいられなかった。
『昨日は羽海を傷つけてごめん。怒ってる?
昨日の答え取り消して、羽海の彼氏になりたいっていったら、怒るかな』
見なければよかった。
また痛くなった。夢じゃない。昨日先生に最低なこと言われたんだ。逃げてきたんだ。けど…
『怒らないよ。嬉しい』
逃げられない永遠のループ。
『じゃ、今から遊園地行かない?』
1度捕まったら
『行く』
捨てられるまで
『今、羽海の家の外にいるから出てきて』