シンデレラの王子は。
こちらから手をほどくことは
『分かった!!今すぐ行くよ♪』
出来ない。
「こんにちは。彼女♪」
玄関を出ると先生が立っている。昨日アタシに酷いこと言ったくせに、なんでこんなに……まるで本当にアタシのこと好きになってくれたみたいじゃない。許せないって、顔も見たくないって思うのが普通な筈なのにどうしてそういう感情を抱けないの?
好きなの。先生のこと。
また、先生のことで頭がいっぱいになった。
遊園地はやっぱりカップルばかり。ぴったりとくっついて手を繋いでる人が羨ましくて、遊園地に来る度、彼氏が出来たらあーなってやる!!って闘争心燃やしてた。でも、実際そんなのなかなか出来ないもので、手汗ヤバイからとか、どのタイミングでとか、いろいろ気にしちゃってなかなか手を繋ぐだけでも一苦労。キスは出来るのに手を繋ぐのって難しいのだなと思う。
いつの間にか羽海は昨日のことなんて無かったことにして、ウキウキと結城先生の隣にいる。
「先生、何から乗る?」
「外で先生はやめろよ」
先生は小声で囁く。
「じゃ、なんて呼べばいい?」
「下の名前で」
「結城先生の下の名前って?」
「えっ、陸だよ。知らなかったっけ」
初耳かも。