シンデレラの王子は。
最初はまずいことしちゃったな、って思ってたけど、よくよく考えたらそんなに怒る所でもない気が…。
やっぱり定番の観覧車だけあって、他のアトラクションに比べて混み具合が半端じゃなかった。
「ちょっと待ってて」
そういうと先生は列から外れて何処かに行ってしまった。トイレか。1人になると、さっきまでの鼓動とは打って変わって静かになってしまった。
暇を持て余していると、何かを両手に持ち、先生が戻ってきた。
「はい、俺のおごり」
どっちがいいかな。ってソフトクリームを見せる。
「チョコがいい」
先生の右手からアイスをとった。
「せ…陸くん、口に付いてる」
本当に先生は子供。
「取って」
「やーだ。自分で取りなさい」
「母さんみたい」
笑ってる先生。機嫌治ったみたいで良かった。
食べ終わった頃に、丁度アタシ達の順番が回ってきた。
観覧車には向かい合って座った。
「俺、この1番上行ったらやりたいことがあんだけど」
「うん」
たぶん、それって、99.9%キスだよね。
フリ〇ク食べ忘れた~。口臭大丈夫かな。でも、さっきチョコ食べたからチョコ味だ、セーフ。
ぐんぐんと上がっていく度に緊張してるのは、アタシだけかな。あっという間に頂上目前。