シンデレラの王子は。
先生の顔がどんどん近づいて、心臓が苦しくなる。首筋に手を掛けられた瞬間。
「やだっ……」
ビクッとなる自分。目を開くと先生顔は、あと数㎜でくっつく程距離。
先生は一瞬びっくりした顔をして、その後はアタシから離れて虚ろに外の風景を見ていた。
いつものようにごめんと謝ることは出来なかった。理由は『先生とキス出来なくてごめん』、それとも『拒んだりしてごめん』の方なのか、理解のしようによっては誤解を生むでしょ。だから何も言えなかったし、なんと言えばいいのかが解らなかった。
拒むつもりなんか1㎜も無かったのに、なんでか解らない。ただ、先生に触られた時にビクッとして、恐いという感情が働いたことだけ記憶にある。
何故、先生を恐いと思ったの?それは多分、昨日のことが脊髄に刻まれているから。いわゆる反射というやつ。
それから何回かデートに行ったけれど、手を繋ごうとされても振りほどいてしまうし、キスも拒んでしまうから、それが原因で喧嘩してしまった。
アタシは手だって繋ぎたいし、キスだってしたいのに、身体が勝手にあなたを受け入れない。