シンデレラの王子は。
#PART.2 上京
この春、門出を迎えて住み慣れた地元から上京してきた。
条件がよくて、家賃の安い物件を祐紗兄の友達の不動産が見つけてくれ、そこに今日から移住することになった。
見事、失恋から生還し、第一志望だった憧れの進学校に受かり、両親の許可を得、新しい居場所で新しい生活をスタートさせる道を自分の手で切り開いた。
我ながら、よくやったと思う。
先生のことなんか忘れてやるって、頭の中から勉強で先生を追い出そうとした結果といったかんじ。
アタシの新しい部屋。
なんかワクワクする。段ボールから荷物を出して、クローゼットに仕舞うのさえ新鮮で、呼鈴が鳴ったら必ず自分が行かなきゃ行けないのは不便だけど、祐紗兄がおじゃましまーすって、引っ越しの手伝いに来た時は、なんか1人暮しだぞって誇らしげだった。
祐紗兄は、今日の練習はあーで、こーで、アイツとのコンビが最近絶好調でって話を沢山聞かせてくれた。
祐紗兄はELUCAの自称期待のエースとなって、夢を着々と叶えていっている。
「羽海も何気、頑張ってんだな。」
「何気とは失礼な!!」
「ごめんごめん。つーか、架嗄はどーなの、最近。」