シンデレラの王子は。
「大物だよ。はははははっ!!
ということで、俺はお前の母さんと話をしにきたから、ガキはさっさと練習に行け」
「そうよ。早く行かないと監督とコーチに、またしごかれるんでしょ」
「そーだった…。つーか、俺ガキじゃないし」
祐紗兄は水筒とタオルをエナメルに入れて、んじゃ、行ってきます、といって出ていった。
アタシと架嗄も、いつの間にか家に上がっているおじさんとママを横目に、祐紗兄を追うように家を後にした。
バス停で架嗄と並んでバスを待っていた。あのおじさんは、何をしに来たのだろうか。そんなこと考えてる時に架嗄が口を開いた。
「あのおっさん、何しに来たと思う?」
全く同じこと考えてた!!!こういう時に双子だって自覚する。
「うーん。なんだろう…わかんないや。架嗄はどー思う?」
「俺、聞いちゃったんだよね」
「なにを?」
鈍い色のバスに乗り込み、架嗄の話を興味津々に聞いた。
「あのおっさん、ELUCAの関係者らしくて…、兄貴のこと、引っ張りたいって。」
「えっ……祐紗兄が!??」
「おぅ」
「それ、まじの話?」
「おぅ」
「スゴすぎじゃん」
「おぅ」