シンデレラの王子は。

よく、この熱血バスケばかな人と付き合おうと思ったなぁ。でも祐紗兄の彼女さんだから美人だろうなぁ。それで、バスケに詳しい人。それじゃなきゃ、話についていけないもん(笑)
玄関で見送り。バイバイって手を振る。ウキウキと玄関を出る祐紗兄。また背高くなったなって後ろ姿で気がつく。いつまで成長期だよ!!アタシの背まで全部、祐紗兄と架嗄に持ってかれたなと悟った。
取り敢えず暇になったから、散歩がてら近所巡りに行くことにした。ケータイと鍵と財布を持って、部屋をあとにする。
空は黒く塗られていて、ポツリポツリと一定に並ぶ街灯。意外と木々が植えられている。この道は昼間、引っ越しのトラックに乗って通り過ぎた道。
あれ?こんなところに公園なんてあったっけ。そこは至ってシンプルで、ブランコに滑り台、バスケゴールとベンチがある公園。
誰もいない、何故だかアタシはその公園に吸い込まれていった。
ブランコに座って、少しだけ揺らしてみる。小さく甲高い音がする。キー、キー、って。
『ダンッ、ダンッ、ダンッ、ダンッ』
聞き覚えのある音が近付いてくる。アタシはブランコを止め、目を瞑って、耳を澄ませた。小さい頃から聞いてた。
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