シンデレラの王子は。
あのまま、あの人と話してたら、確実に死んでたな。
まだドキドキしてるよ。心臓は言うことを聞いてくれないのね。
玄関の前に体育座りしてる完全に見覚えのある少女が…。こんなに体育座りが似合わない女子いますかってかんじなんですけど。
アタシが視界に入るとその子は、飼い主を待ちわびていたわんちゃんみたいに飛び付いてきた。
「うみ~、待っていたのだぞ。くぅの相方様!!」
「もー、何?そこにある大きな荷物は…もしや…」
やっと離れたかと思うと、お次は二ヤッとして思っていた通りのことをスラッと言われた。
「大正解♪家でしてきましたぁー。だから、一生泊めてちょ」
「いーやーです」
鍵を開けて、アタシだけ中に上手く入れた。玄関のところが映し出されるモニターで会話状態。
「うーみー」
「無理」
「くぅ達、幼稚園からの仲じゃん!!!」
「無理」
そんなになるのか。
「ただで住もうなんか思ってないからー、家賃とか光熱費とか、2分の1払うからぁー!!!!」
「無理」
お金で釣ろうったって、そうはいかないぞ。
「じゃ、結城先生のこと同級生にバラすぞ☆」
「ばか。それだけはやめてっ」
「それなら、部屋に入れなさい」
全く。幼なじみってのは不敏なものだ。