シンデレラの王子は。

眠い目を擦りながらムクッと起き上がると、今何時?と問う。
「6:30だよ」
「入学式って何時から」
「7:30集合」
「そっか。…って、ヤバいじゃん!!もっと早く起こしてよっ」
目覚まし時計止めてたの自分のくせに人のせいにすんな、って言ったのを聞かずにバタバタと制服に着替え初めてる。アタシは5時起きだから余裕綽々だった。
筆記用具だけが入ったスクバ片手に、玄関で早くーって空未を急かすのだけは中学の頃から変わらない。急かされると余計遅くなり、焦り出す空未を見てるのも面白かった。
結局、家を出たのは7時だった。
憧れの進学校。
正門の脇に芽吹く桜の花は、風に吹かれてアタシ達の上に舞い降りてくる。
「クラス同じかな」
「同じがいい♪」
時間が迫っているというのに呑気すぎるね。と思いつつ、桜のトンネルをくぐり抜け体育館へ向かう。
貼り出してあったクラス分けは、空未と同じクラスだった。
奇跡的!!!!とか言ってバカみたいにテンション上がたまま、先生らしきハゲのおじさんに列に並ばせられた。並んだら、だんだん緊張して空未とのお喋りも止め、多分顔が強張ってたと思う。
「新入生、入場」
規則正しく並ばされた椅子に、規則正しく席についていく。
< 35 / 160 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop