シンデレラの王子は。
てか、傍観者から見たら道に座って泣いてるアタシ。それを見下ろし、話し掛ける人。っていう変なかんじになってるよね。
さっと立ってみる。
「あっ、立った。」
「それじゃ」
その男子に敬礼して、向こうも敬礼し返した。アタシはこっから早く逃げようという本能に操られ、一歩踏み出したら、また力が抜けて崩れてしまった。
「駄目じゃん(笑)
家どこ?送って行きます」
「知らない人に付いていっちゃダメだから。」
「ガキかっ」
まじ変な人って笑われた。
「とにかく、ここにお前のこと放置しとく訳いかないから」
ひょいって背負われて連れていかれた。
「道教えて下さいよ」
「いや、ちょっ、アタシ、重いし、わるいです」
「大丈夫です、ほら」
何この人。めちゃめちゃ優しいよ。
普通、名前も知らない変人を背負って家まで連れてってくれます?今時、絶滅危惧種の好青年過ぎる。
彼のリュックを背負わされ、ボール片手にアタシをおぶり、どんどん進む。
「話聞こうか?なんで、そんな立てなくなる程泣いてたの?」
「それ聞いちゃう?!」
「聞いちゃいます」
アタシの周りの人は空気読める人ばっかりだから、普通にそういうことを悟らずに聞いてくるのが新鮮。