シンデレラの王子は。
「じゃ、話しちゃいます」
何故か解らないけど、話したくなる。誰かにこの胸の内を打ち明けて、同情してほしい気分。
「そんな軽いノリで対して知りもしないヤツに言っちゃう?!」
「そっちが言ってきたくせに」
背中を2、3度叩く。
「暴れんな、落とすぞ」
「それは困ります」
落とされては困ると思い、ガシッと頼りがいのある背中に掴まった。
「ちょっ、何してんの!」
動揺してる。なんでだ?
ようやく気がつく、自分がしている行動がすごく大胆だということに。
「ごめんっ」
慌てて背中から離れる。
「あー、もう落とす。3、2、1、」
ごめんごめんと何度も謝る。自分が恥ずかしすぎて顔から火が出そうだ。もう何やってんの。。。
なんかお互いに気まずくて、沈黙。顔は見えないけど、耳が真っ赤な君を見てた。でも、アタシがばかなことしても背中から降ろさないで、そのまま歩いてくれるから、やっぱり優しい人なんだなって思ってた。
「ここ?」
「うん、たぶん開いてると思う」
ドアノブを回して引こうとする。
「開きませんけど」
背中にいるアタシに向かってそう訴える。
「えっ?!じゃ、……これで」
鍵を差し出す。
「開けろってことですか」
「うん」