シンデレラの王子は。

当たり前のように言って鍵を託す。
今度はガチャッとしっかりドアが開いて、お邪魔します、と玄関を入る。
「つーか、こっからどうすれば…」
玄関で立ち止まる君。
「上がっちゃっていいよ。リビングのソファーの上にアタシを置いてくれればいいから」
戸惑いながら再びお邪魔します、と言う。
家には空未の姿がなく、出掛けたらしい形跡があった。
「はい」
ゆっくりとソファーの上にアタシを乗せた。リュックを返したら、そのまま背負って練習に向かう風だった。
「一人で大丈夫?」
心配してくれるとか。
首を縦に振る。
「そいや、今度会った時は、話聞いてやるよ」
「じゃ、その時はよろしく、約束ね」
おぅ、って返事。
そうして、彼は行ってしまった。
今日だけで、なんか仲良く成れた気がする。話すと昨日見たバスケやってた人とは、まるで別人だった。もっとクールだと思ってたなぁ。なぜか自然と笑みが。。。
「いってきましたー」
今日はカレーだぞォォォォォ♪って空未がマイバック抱えて帰ってきた。こう見えても家庭的で料理上手な空未だから、家事はあんまり手を出さないことにした。(アタシだって料理くらいできるけどね)
早速、買ってきた食品を冷蔵庫に仕舞う。

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