シンデレラの王子は。

それに加えて、自分がモテることを否定しないところが空未らしい。空未は自信の塊だから。
「はいはい。お世辞ありがと」
「お世辞なんかじゃないもんっ。そいや、もう羽海立てるかな?」
話そらしましたね。
さすがにもう立てるでしょと思いながら、ふっと立ち上がってみた。
「羽海が立った!」
「クラ〇が立ったみたいに言うな!」
拍手までされて、初めて立った赤ちゃんみたいな気分だ。こっから、さっきは歩こうとしたら崩れたからな。と思ってたけど、普通に歩けた。なんかテンションあがる。歩けたぞ~♪みたいな。ばかみたいだけど(笑)
その後に、空未はカレー作りを続行して、アタシは散歩に出掛けた。また立てなくならないでよ。と空未に念を押され、行き先は公園。
なんで行こうと思ったんだろ。解らないけど、散歩に行きたい気分だった。
嘘。
本当は行きたかったんだと思う。もう、さすがにいないだろうと思ったけど、何を話す訳でもないけど、あのボールをつく音が聴きたかった。
公園に近づくにつれて、緊張する。あの音は聴こえない。居ないよね。
んっ?居るじゃん。
彼は、ベンチに座って水分補給をしている。アタシは静かに公園に入りベンチの向かいにあるブランコに座る。

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