シンデレラの王子は。

話を戻された。
斯々然々と先生にフラれるまでの過程を話した。
「なるほど。センコウに心をわし掴まれたっつーわけですね」
「あーそれ以上言わないで。涙腺緩むから」
潤んだ瞳を頑張って見開く。
「そういうこと言われると、泣かしたくなる」
真顔でそれ言いますか。
「泣かない」
「目、充血してるけど」
あー、涙がアタシの99.9%を埋め尽くしてる。
耐え兼ねて瞬きをした。
泣いちゃったじゃん。思い出しちゃったじゃん。涙脆いんだよ!!!!!
「泣いたっ。俺の勝ち」
勝ち誇られた。
あっ、さっき、かっこいいと思ったのは取り消し。
「勝ちとか負けとかないから」
ふいにポケットの携帯が鳴った。携帯を取り出し、ちょっとごめん、と言い、誰からかを確認する。
《結城先生》
今更何をメールしてきたのかと思いながら開くと……
結婚式の招待状になっていた。しかも、写メが添付されている。
意味分からない。なんでこんなもの送って来るの。アタシへの嫌がらせ?最悪。結婚式なんか行くわけない。こんなに仲良さそうに笑い合っちゃって、しかもこれって、あの日、一緒に乗った観覧車の中と同じじゃない。どこまでそんなことするの。アタシ、先生にそんなに嫌なことしたかな。

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