シンデレラの王子は。

その後は、友達の空未と一緒に塾へ行くという決まったコースとなっていた。早めに仲間とバイバイをして、さっさと歩いて塾に向かう。塾は7:00~10:00となっており、アタシ達はいつも8時、2時間目から合流する形となっていた。
アタシと空未は、いつの間にか歩むスピードが遅くなり、話が盛上がってしまい、5分程遅刻してしまった。
「遅れてすみません」
2人で焦りながら教室のドアを開けて言う。教室内にいた生徒達と先生が、一斉に注目した。早く席に着けと男勝りの女の先生に言われるまま、腰を低くし席に着いた。
隣の席の男子は気まずそうな顔をして、黙々とメモをとっている。なぜ彼が気まずそうな顔をしているかというと、ついこの間の塾の帰り、こんなアタシに好きだと言ってきて、困惑しながら振ってしまったのが原因だと考えられる。我ながら即行だったから、余計効いてしまったのだろう。別に嫌いとかそういうことではないのだけれど。
いつの間にか、最後の授業が終わり、テキストを鞄に入れていると、空未がニヤニヤしながら近づいてきた。
「今日の授業もガン見してたでしょ」
「見てないからっ」
アタシは照れながら言ってみた。

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