シンデレラの王子は。

#PART.3 どうすればいい


くじ引きで席替えをしても、何故か右隣の人は替わらずに『りっくん』だった。
「また隣だ、よろしく」
「よろしく」
ただの偶然。そう思っていた。
席替えの次の時間は、数学だった。見事にコクリコクリと船を漕ぐりっくん。このままにして、先生にバレて怒られるのも可哀想かなと思い、シャーペンで二の腕あたりをつんつんとつついてやる。すると、ガタッと音をたてて起きてしまったため、一瞬で気付かれてしまった。アタシは知らない振りで、込み上げる笑みを必死で堪え、黒板に書いてある要点をノートに写していた。りっくんは、居眠り常習犯なため、次に寝たら放課後呼び出しだぞと脅されていた矢先のことだったらしく、自動的に呼び出しが確定だった。
先生は向き直り、この問題解る奴はいるか、と問い、手も挙げていないりっくんを指す。まだ寝ぼけ眼のりっくんは面倒くさそうに立ち上がり、サラッと答えを言うのだ。そうして、速効椅子に座り『はぁ~』と欠伸をする。先生は正解だ、としか言えない。
りっくんはそういう人なのだ。いつもそう。塾に行ってるとか、家庭教師ついてるとか、聞いたことないし、況してや、これががり勉な訳がない。

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