シンデレラの王子は。

「裏で言ってるにしては、嬉しい陰口だね」
あいあいが味噌汁を手に取り言う。
「ちょっと待って、何だかアタシだけ場違いな気がしてやまないのですが。」
空未が口に運ぼうとしていたフライを一旦置く。
「てか、前から言おうと思ってたんだけど、羽海は自信無さすぎだから!!!」
だって自信の持ちようがないんだもん。周りにはこんな美人と可愛い子がいちゃ、余計に自分のブスさに浸るしかない。
「そうだよ。うーちゃんは可愛いし、モテるのにもったいないっ」
アタシが可愛い?モテる?ありえん、ありえん。
「冗談でしょ」
「冗談じゃないから。羽海は、前は自信ありありだったくせに、誰かさんと別れてからそーなったの!自分では分かってないかもしんないけど」
自信ありありなわけない、自信なしなしだっての!!
それじゃ、アタシがまだ結城先生のこと引き摺ってるみたいじゃん。
「そんなことないもん」
「ありますー、早く好きな人でも作りなさいっ。そしたら多分、治りますよー」
「好きな人の作り方、忘れた」

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