シンデレラの王子は。

「好きな人は作ろうと思って作れるものじゃなくて、気付いたらドキッてしたり、無意識の内にどこにいるかな~って捜しちゃったり、少しの間でも会いたいなって思ったり、一言話しただけでも苦しいくらい嬉しくなったりするものじゃないかな」
「なるほど」
あいあいの答えが最も過ぎて、空未と声を揃えてしまった。
確かに、そうだったかもしれない。なんだか遠い記憶を掘り起こすかのようで、とにかくメモれっ!こうしてたまに、あいあいは名言を吐くのです。
「もしや、あいあい恋してるな」
空未がニヤッと言った。
「別にっ、恋なんかっ」
図星だったらしい。
頬を真っ赤に染めて照れるあいあいは本当に可愛くて、母性本能をくすぐる。
「リア充出ましたよ。くぅなんか、昨日別れたというのに…ねっ、羽海」
つい昨日、泣きつかれた身だ。
「アタシに振らないでよ」
「そっか、羽海さんは元カレズルズル女だもんねー」
「元カレズルズル女じゃありませーん」
「どうだか」
すぐそうやって言う。アタシは口を尖らせる。本当にムカつく。
「羽海ごめんて。」
「嫌」
「今日の夕飯、ロールキャベツとミニグラタンにしてあげるから許ちて」
ブリッ子で食べ物でアタシを釣ろうという空未。

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