シンデレラの王子は。

家のドアを開けると、夕食を作って空未が待っていた。
「どうしたの?そんな震えて」
空未の言葉が温かくて、また涙腺が緩んだけど、唇を噛んでグッと堪えた。
「…お風呂沸いてる?」
「沸いてるけど…まじでどうしたの」
敢えて応答せずに、風呂に直行した。
自分が臭くて、汚くて、何度も何度も洗っても、取れない。擦っても擦っても、まだ汚い。洗いすぎて血が出た。でも、でも、何も綺麗になんかならない。
お風呂から出たあと、空未が作ってくれた大好きなロールキャベツとミニグラタン。食べる気がしなくて、一口食べただけで気持ちが悪くなり、戻してしまった。
空未は優しいから、心配してくれつたけど、独りよがりのアタシは聞こえない振りをして部屋に閉じこもってしまった。
何をするでもなく、途方に暮れて横になって震えている。そんなことしていても、何もならないと分かっているのに、こうするしかなかった。

2日間学校へ行かなかった。毎日通っていた公園にも行かなかった。
りっくんとあいあいから心配メールが来る。りっくんって本当にいい人。
お見舞い行くとか言ってくれちゃって。

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