シンデレラの王子は。

本当に心配だからとこんなアタシにメールなんかしてくれる、りっくんが告白してくれた後のことなんて話したら、幻滅するだろうな。汚れた女と認識されるだろうな。嫌だけど、本当のことだから…それは変えることの出来ない事実。
今日、りっくんがお見舞いに来てくれるらしいけど、会えないよ。告白も断ろう。アタシなんか、りっくんと一緒にいちゃいけないし、事実を打ち明けたら引かれること分かってるから。
「お邪魔しまーす」
夕方頃、空未があいあいとりっくんを連れて帰宅。
リビングで何やら話しているらしいけど、内容までは届いて来なかった。
誰かがアタシの部屋のドアをノックする。当然、無反応。
「神谷?」
りっくんだ、それでも何も言えない。
「あの、こんな時にあれなんだけど…その、告白の返事って、どうなって…るのかな」
ドアに背を向けて横になっていたけど、声のする方が気になって、ドアに向かってベッドの上に体育座りした。
「…りっくん」
息を吐いたようなか細い声で呟いた。
「何?」
聞こえてなんか居ないと思ったのに、アタシの声をしっかりと掬い上げていた。
目を瞑って深く深呼吸。
「…アタシ、りっくんのこと大好きなんだけど、」

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