シンデレラの王子は。

そうなんです、今回アタシを拉致った容疑者は祐紗兄。
だから、あんなに空未がテンパってた訳ね。
という訳で、なぜかショッピングなうです。しかも、隣で急かされながらという、全く楽しくないかんじ。とりあえず、ワンピースと靴でも選んどけと言われ、次はボサボサの髪を美容院でブロー。その次は、軽くメイク。やっと終わったか、と言われたとおもったら今度はタクシーに乗り込んで、祐紗兄が行き先を運転手さんに伝えていた。どこに行くのか分からないまま、少し苛立つ兄を見た。よく見たら、祐紗兄って意外とオシャレ。なんでイライラしてるのかな、アタシがいろいろと遅かったからかな。本気で怒ると鬼になるから、祐紗兄がイライラしてる時は注意報と架嗄と裏で呼んでいた。
てか、アタシ何やってんだ?さっきまで、もうダメだって横になって人生どうやってやり直そうかと考えていたのに…ってアタシは犯罪者かっ!!
でも、それに近いこと考えてたのに、なんでこんな可愛いワンピースと靴買ってもらって、オシャレしてるの?
おかしい、おかしい。
「はい、着きましたよ~」
陽気に運転手が言う。ドアを開けて出たら、普通のカフェだった。ん?ますます意味が分からないまま、店内へ。

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