シンデレラの王子は。

そして急にはっとして、空未のとこへ走っていく。
「今日はお誘いされた?」
空未は大親友で、アタシのことを何でも知ってるから、そうやっていつもからかってくる。
「うん、だから今日も一緒に帰れないや。ごめん。」
「いつものことだからっ♪」
「ありがと」
「じゃあ、帰るねっ」
そういって手を振る空未。アタシは手を振り替えして明日ね。といってみた。
アタシは塾を出て、自販機のとこにある青色のベンチに座って待っていた。これもいつもの行動。制服でかなりミニスカートだから、夜の寒さはいつも堪える。こうしてると先生が来て、『わりー。寒かったろ?』って言ってくるんだ。
ほら、先生が走ってくる。
「わりー。寒かったろ?」
「ははっ」
思わず笑っちゃったよ。
「何、笑ってんだよ」
だって、アタシが思ってた通りの台詞言うんだもん。
「ううん、何でもない。行こっ」
ベンチから離れて、先生にくっついた。先生はすごく温かくて、頼れる腕をしてるから、そういうとこも大好きで。
「今日はどこ行くの?」
でも…
「ホテルでも行っちゃう?」
先生は…
「いーよ」
デートの行き先をホテルとしか言ってくれないの。


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