シンデレラの王子は。
☆感情
#PART.4 桃ジュース
アタシは知らない。
あなたの前に立つと、ギュッて胸が苦しくなって脈拍が上がってることに。今はあからさまに前に出ないようにと、何処かで何故か高ぶる想いを圧し殺していることに。
《大好きになるあなたへ》
いろいろと誤魔化されて、合コンに参加する形となってしまった。相変わらず不機嫌な兄に、アタシ以外の女の子は食い付き質問攻め。完全に場違いなアタシ。ひたすら少しずつジュースをすする。別に、美味しいからいいんだけど、やっぱり家で暗くなっていた方が、アタシにはお似合いだと思っていた。
そんなアタシに話し掛けてくる男の人1名、男の人と言っても祐紗兄と同級生ぐらいの年齢だと思う。タメだったし。あと1人は相槌を打つ程度の祐紗兄達の先輩らしき人。
「今は学生なの?」
「…高1です」
ネクラ?ってくらいの暗さ。第一印象最悪だね…。
「俺と3つ違い!!」
そう言ってニカッと明るく笑いかける。
「……」
笑顔になれない上に、何も言えない。
「俺、ガキの頃から祐紗の親友やってるんだ」
その台詞、どこかで…
頭の中をその台詞が2、3周グルグルと回った。
『俺、ガキの頃から祐紗の親友やってる琉葵だよ。一ノ瀬琉葵』
あの時だ。