シンデレラの王子は。
なんでまた、思い出させるの?いつの間にか縛られているらしい自分の不甲斐なさに、何も言えなくなる。
「ここ座ろっか」
言われるままにサラサラな砂の上に座る。
「暗い時に暗い顔すんなよ」
膝を抱えて下を向いていたアタシに笑顔で声をかける。
「…暗い顔なんてしてませんよ」
てか、暗くて顔なんてあまり見えないのに、よく気がつく人だ。
「してるって!!辛い時こそ笑顔。俺の座右の銘だからっ」
「辛い時に笑顔なんて無理ですよ」
「だったら、俺が笑わせる」
時々、真剣な表情でそんなこと言うからドキドキして瞳が離せなくなる。
「俺、辛くなったり落ち込んだりしたら、こうやって海に来て黄昏んだー。そうすると元気出て、次の日絶好調!!
だから、ここに連れてきた。辛かったら我慢なんかすんなよ」
我慢なんか…我慢なんか…してる。
「話聞くだけ聞くから、話したくないなら、無理に話せとは言わないけど」
誰かに守って欲しかった。誰かに助けて欲しかった。でもアタシ自身、誰かに頼ることさえ出来なかった。話しても引かれるって、そう思ったから。これ以上、自分が傷ついていくのを恐れたからだよ。だから大好きな人に程頼れなかったし、話すことが出来なかった。