シンデレラの王子は。
先輩がバラしたらそれまで。
でも、手を伸ばしてくれる人がいる。これで二人目だ。
海風がアタシを後押しして、勇気をくれる。助けてと言えそうかもしれない。
「…あの、引かないで聞いてくれますか?」
「うん」
優しい返事が帰ってくる。深呼吸をして、話し始めた。
「…アタシ、学校の先輩にレイプされたんです」
引かれたよな、汚い女と思われたよなと思っていたのに、なんでそんな顔してうんうん、と頷いて聞いてるの?
涙が溢れて留まらないじゃない。
「…それから、2、3日学校は行ってない。先輩に会いたくないっていうのもあるけど、1番はみんなにバレたくないから。
助けて欲しくて、守ってほしくて、でも言えなくて。一人でずっと考えてた。アタシは汚い女、話したところで引かれるだけ。」
頭の上に大きな手。
「もういい。」
話したら止まらなくなって、口からどんどん思ってることが出てきてしまった。
今度こそは引かれたって、すごく恐くなった。
「引かないし、汚い女なんて思わない」
なんで、なんで?
ふいに体を寄せられると
「そんな女、守ってやりたくなんだろ、ばーか」
なんて言うんだ。嬉し過ぎて、何も言えないじゃん。