シンデレラの王子は。

「結局、朝まで連れ回しちまったな。わりぃ」
「大丈夫ですよ。楽しかったから、また連れ回してください♪」
「女子が男にそういうこと言ったらっ…あれだから…無防備にそういうこと言うんじゃねぇぞ!!」
なんか怒られちゃったけど、まいっか。微妙に照れてるし。
帰りはさすがにお姫様抱っこではなかったけど、君の背中を追うように歩いた。背が高いことは分かってたけど、改めて見ると大きくて、アタシは昨日、この人に抱きしめられたんだって思うと、なぜだか急に心拍数が上がった。
「…あっ、そーいえばこれっ」
何やらポケットから出した紙をくれた。不安気な横顔で照れ臭そうで
「それ、今度の日曜にホームでやる試合のチケットなんだけど…もし暇だったら観に来ない?」
「行きます!!」
速効そういうと、アタシに隠すようにガッツポーズをする琉葵さん。そんなに喜んでもらえると思ってなかったから、こっちまで嬉しくなって、顔を見合わせて笑った。その時、今までにないような幸せを感じてしまったのです。
誰かと笑い合えるって幸せ、それに加えて相手がす……?
アタシは今、何を想ったのだろう。もう少しで出てきそうなのに、あと一文字が出てこないもどかしさに、ウズウズとした。

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