シンデレラの王子は。
琉葵さんは家の前まで送ってくれて、その後に練習があるらしいので、またメールして、とだけ言って振り返っては手を振ってくれた。
ルンルン気分でドアを開けると、空未がドタバタて走ってきた。
「ちょっと、朝帰りってどういうこと?!どこいってたの」
「海」
「はっ?てか、祐紗くんは?」
やっぱり、そっちが目当てですか。
「いないよ、しかも祐紗兄と一緒にいたわけじゃないから」
アタシはリビングに行って、ソファーに座り、貰ったチケットを思わずにやけてしまいながら見つめていた。
「じゃ、誰といたの。まさか男?!」
「ひみつー♪」
「男といたんだ!!
はぁー。てかさ、羽海さん正常に戻ってません?」
今頃っていう(笑)
不思議な魔法のおかげでね。
「で、今日は学校行くの?」
「うん、遅刻して行く」
「了解です」
先に慌ただしく出ていく空未を送ってから、お風呂に入って髪をセットして、ご飯は抜きで学校に直行した。
学校に行くのは久し振りで、少しだけ恐いけど、琉葵さんに元気貰ったからもう大丈夫だと自分に言い聞かせて正門をくぐった。
幸い先輩には会うことなく下校時刻となった。