いじわるな後輩くん×ツンデレな先輩
そんな事されて「はい」って言う人じゃ…ない。
「私も歩きます」
「いいのよ楓夏ちゃん」
「いえ。大丈夫です」
ニコヤカな笑顔を向けるとおばさんは「わかったわ。ありがとね」と会計を済まし病院を出た。
「…よかったのに」
「なにが」
「俺がどこに行くのかわかってるんだろ?」
…わかってるよ。
きっと相太には大事な事があって、行かなきゃいけない場所があるんだよね。
そんなのわかってるよ。
微笑をすると相太は「出るぞ」とあたしの腕を痛くない方の腕で引いた。
自動ドアが開きやっと外の景色を見た。
浴衣を着た女の子が沢山前を通っていく。
外はすっかり暗くなりかけてじりじりと暑い。
「いくぞっ」
そのまま私の腕を掴むように相太が半歩前をあるく。
心が詰まる。ぎゅうっ…って。