恋愛談義!

――――……





「――相変わらず、お嬢様は鬼ですね」



会社からうんと離れたバー『Guido Fawkes』のカウンター


私の隣で、アードベッグのスーパーノヴァ(アルコール度数60%のシングルモルトウィスキー)を顔色一つ変えず楽しみながら、くすり、と唇の端を持ち上げる男。



「御堂(みどう)。私はもうお嬢様じゃないから」

「私にとっては、お嬢様はずっとお嬢様ですよ」



御堂は母方の祖父が非常にお金持ちだったころに、家に出入りしていた骨董商の息子だ。


体つきはがっしりと大きく、清潔感のある黒髪短髪で、すっきりとした奥二重の瞳は大きく、眼光鋭い。

骨董商というよりも、どこかの組の切れ者若頭と言ったほうが似合う。


年は確か四十をいくつか超えたはずだけれど、スーツを着ても、紬を着ても、絵になる色男で

そして16歳だった私が「初めての男」として選んだ男でもあった。



< 14 / 281 >

この作品をシェア

pagetop