恋愛談義!
そして金曜日の夜。
相談したいと言われて行ったオシャレなビストロの帰りで
(といっても、いつもの彼女の愚痴で、私はただ聞き役に徹しただけだけれど)
自宅アパートまでタクシーで送ってもらって。
「ごちそうさまでした」
タクシーを降りかけた私の手首を、彼がつかんで言ったの。
「――俺、青木のことが……気になってる」
相談もかれこれ5回目だったから、正直遅いよ、と思ったくらいだけど
死ぬほど驚いた顔をした。
信じられない、そんな風に思ってなかったって、演技。
彼から目を逸らさないまま、その手を振り払って数歩後ずさると
鈴川さんは慌てた様子でタクシーにお金を払い、降りてくる。