恋愛談義!
井上礼央が妙に感心しながら、私から差し出されたお金を受け取る。
「ただの職場の同僚とはいえ、レジの前でお金をやりとりするのが格好悪いじゃない」
「まぁ、そうだけど。そうやって気の利く女演じてるわけか」
「バカね。今自分で言ったでしょ。『身についてるんだな』って。演じてないわ、身についているの」
演じ続ければそれはいつか自分のものになる。
いい女を演じていれば、いつかいい女になれる。
そう、自分に言い聞かせたのはいつのことだったか…。
夜道を歩きながらふとそんなことを思う。
「なぁ、青木サン」
「なに?」
「――やっぱり、俺のこと覚えてない?」