恋愛談義!
私には苦い過去がある。
いや、過去と切り捨てられないれっきとした現実が、確実に胸の奥、記憶の奥に横たわっている。
もし――
いや、まさか――
懸命に掘り起こす記憶のかけらの中に『井上礼央』はいない。
いないはずなのに、まさかと思う気持ちがぬぐいきれず
めまいがする。
「――青木サン」
低い声で名前を呼ばれて
「大丈夫?」
ハッと顔をあげると、よろめいていたのか腕を支えるように捕まえられていた。