恋愛談義!

「ひるんだところを、さらに持っているバッグで頭を殴るとより効果的なんだけど……同期のよしみでそれは許してあげる」



しゃがみ込んで悶絶している井上礼央の頭の上に、これで殴るつもりだったのだと言わんばかりに、軽く荷物を乗せる私。



「お前、本当に、容赦ないな……っ……」



井上礼央はヒーヒー言いながら、涙目で私を見上げる。


その顔が犬っぽくて、ちょっとだけ胸がキュンとした。



「――当たり前でしょう。か弱い女なんだもの。容赦なんてしてたら身を守れないわ」

「誰がか弱いって……はぁ……」

「折れるほど踏んでないわよ。ローヒールだし」



けれどピンヒールなら狙えば折ることも可能なのだ。




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