…TRIANGLE…
「そうだよな……じゃあ質問かえる。穂香にとって、俺としかできないことって何かあるか?」
「隼斗としかできないこと?」
なんだろう……隼斗としかできないこと……
「わからないだろ? 俺もわからない。
だけど、もし今……俺じゃなきゃダメだ。って言ってくれる人がいたら……俺、そっちになびくかもな」
「隼斗……!?」
「ごめん、穂香。帰って……」
どういう意味なんだろう?
だけど、私は急いでお泊まり用のカバンから明日着ようと持ってきたワンピースを着た。
涙がポタポタ流れて、何度も手のひらで拭う。
隼斗に脱がされたパジャマをカバンに詰め込むと、急いで隼斗の部屋を出た。
階段を駆け下りて、自分のサンダルを履いて生暖かい夜の道を走った。
街灯がポツリポツリと黄色い光で照らしてる。
サンダルが足に食い込んで痛い。だけど、止まれない。隼斗は絶対追いかけてきてくれないけど、振り向いて隼斗がいないことに気がつくのは嫌だ。