…TRIANGLE…
「バスケのことは特に何も話すことないだろ。他に俺になんか言うことあるんじゃないのか?」
隼斗は、あるよ、と言って自転車を転がした。
「穂香とは別れるよ」
「別れるって……んなこと一方的に決めるんじゃねーよ! 穂香と話し合ったのかよ!」
校門の前の街灯が消された。俺と隼斗しかいない暗い夜道で、俺だけが必死で、俺だけが熱くなってるみたいでムカついた。
「話合うことなんてないよ。もう穂香には何の気持ちも残ってない」
「隼斗……てめっ」
俺の自転車が派手な音をたてて倒れた。車輪が無様に回転して、俺は隼斗に殴りかかっていた。
隼斗の自転車も倒れ、ガードレールにぶつかった。
「穂香をそんな軽々しく扱うんじゃねーよっ! あいつは、そのへんの女と同じじゃねーだろっ!!!」
隼斗を殴った右手が痛い。
鳩尾を蹴られて、一瞬呼吸が止まった。それが余計に頭にきて、もう一発殴ると、殴り返された。
ティシャツの襟元が伸びるくらいに掴み合って睨みあって、それでも俺は隼斗にムカついた。