…TRIANGLE…

 九月に入ったからって急に涼しくなるわけじゃない。学校指定のワイシャツが汗で張り付いて気持ち悪い。体育館の外ではまだ蝉が絶好調にないている。

 久々にみる剛毛眉毛の校長が、相変わらず面倒くさそうに話をしている。それを真面目にきいてる奴なんて誰もいなくて、ヤスは後ろから俺に説教を続けている。


 スピーカーを通した校長の話と、後ろからのヤスの説教、周りの潜めた声。斜め前にいる穂香がこっちを振り返った。


 目が合うと、びくっと肩を揺らしてまた前を見た。



 馬鹿だな……多分、穂香が責任感じてる。



 殴り合いなんかするんじゃなかった。こんな派手な傷つくったら心配させるの目に見えてんのにな。



「ナツ! きいてんのかよ!」


 声を荒げたヤスが周りからの視線を浴びて、やべっ、と小さくなる。



「聞いてるよ。隼斗とは喧嘩したけど、バスケには持ち込まない。隼斗もそうするはずだから心配すんな」


 

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