…TRIANGLE…

 やった……ああ、隼斗を誘いたい……でも、あいつとは喧嘩中だし。俺から話かけんのも、このチケット餌にして機嫌とってるみたいでイヤだ。


「私もナツと一緒に行くね」


 だけど、俺の手から一枚のチケットが引き抜かれた。

 隼斗がだめならヤスでも誘うか、と思ってた俺の計画は中止になる。



「はあ? 亜里沙、バスケわかんのかよ?」


「わかるよー、たまにナツの練習見てるもん」



 亜里沙はバサバサと睫毛を揺らしてわざとらしいまばたきをする。

 でも、チケット持ってたの亜里沙だし……仕方ないか。一枚になったチケットにため息を吹きかけた。


 チケットの日付は今週の日曜日。


「わたし、ナツにデート誘われた!」


 隣の席の亜里沙が大声だして、両手あげてガッツポーズをとる。


「おい、ふざけんな。俺が誘ったわけじゃ……」


 時すでに遅し。クラス中の関心が俺たちに向いていた。

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