…TRIANGLE…
穂香は納得のいかない顔で、緑色に光る通話ボタンを押した。
「隼斗…………」
アイツ本屋にしては遅いな、けっこう時間たってる。エロ本でも吟味してたら笑えるんだけどな。
どうせ俺には縁のない、分厚い参考書でも買ってるんだろうけど。
「えー、うん。でも、しょうがないよ。今ナツくんも一緒に待っててくれて………うん、隣にいるよ。わかった。
ナツくん、隼斗が電話かわってだってさ」
「俺に?」
「うん、なんだろ?」
イチゴミルクみたいな色した穂香の携帯を受け取る。生暖かい携帯に耳を押し当てた。
『ナツ わりー。穂香 家まで送ってやってくれないか? 俺今日遅くなりそうなんだ』
「はぁ? 何やってんだよ! 穂香待ってんだぞ!」
『だから、わりー。よろしくな』
「ふざけんな、何がよろしくだよ! 約束してたんだろ?」