…TRIANGLE…

「でも、亜里沙たちが騒いでたよ。穂香、意外と軽い女だって俺聞いたよ。ぶっちゃけ、一番迷惑してんの俺たちバスケ部員なんだよねー。隼斗もナツもバスケはめちゃうまいけどさ、自分勝手にプレイされるとハラハラするんだよ」


 ヤスくんの言葉は、私に非難を浴びせるものだ。



「それなのに穂香は毎回試合見に来てるだろ? あれさ、正直、俺たち苛々するんだよね」


「苛々って……私、端っこで見てるし……誰にも迷惑かけてな……」


「そうやって、わざとらしく端っことかで見てんのとかさ、今更純なふりしてムカつくんだよ。悪いけど、明日は来ないで。隼斗とナツにも集中してもらいたいし、三角関係の喧嘩ならインターハイ終わってから気が済むまでやれよ! 俺たちのインターハイは、これ逃すと一生ないんだよ!」


 ヤスくんは最後声を荒げた。


「ごめん……」


 私は謝ることしかできない。



「謝るなら試合に来ないで」


「……うん、行かない……本当にごめん」


 ヤスくんは、そのまま私を見ないで廊下を早足に歩いていった。上履きがキュッキュッと鳴る音までが全部私を非難しているみたいで涙がボロボロこぼれてきた。



< 167 / 254 >

この作品をシェア

pagetop