…TRIANGLE…

 後半残り五分、今のゴールで七点差。逃げ切れるか……逃げ切るしかないよな。

 会場の歓声も応援の声も、どこか遠くから聞こえてくる。ボールが跳ねる音と、隼斗の指示、相手チームの足音だけが近い。



「ナツ、俺たち守るから、お前と隼斗で攻めて攻めまくれ。相手のフォアード焦りまくってるよ……大丈夫、勝てる」


 高野から肩を叩かれて、勝てる、ともう一度強く思う。


 ボールは高くあがり、隼斗が弾いて俺の手の中に飛んでくる。


 オフェンス、と念じて、今まで練習してきたこと全て出しきればいい。疲れも感じない、ただ荒い呼吸を落ち着けてひたすら自分を信じてチームメイトを信じる。



「ナツ、だめだ! おまえ、マークされすぎてる!」


 ボールはガードの高野へ、フロントコートを進めない……ならシューティングガードへ、もっと前へ、もう一点、もう一点と足掻きながらボールは隼斗。



「隼斗!」


 相手も必死だ。センターが隼斗を弾いてボールを奪うと一気に攻撃を仕掛けてくる。

 隼斗が派手な音をたてて床に叩きつけられる。それを視界の端におさめて、猛ダッシュ。


 はね飛ばされた隼斗を欠いて、四人のディフェンスじゃ追いつけない。


 一気に失点。その差五点……


 ヤバいな。逆転可能な点差だ。スリーポイントが決まれば、その点差は余計に詰められる。


「今のファウルじゃないのかよっ」 

 ヤスがイラつきながら、汗をふく。


「笛なってないだろ……行くぞ」




 
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