…TRIANGLE…

「大丈夫? 濡れてるみたいだけど、川にでも落ちちゃったの?」


「あの、川ってわけじゃ……」


「あ! そこにコインランドリーあるよね! 制服だけでも一緒に乾かしてあげようか? 明日も学校だよね、夏休み前にナツくんもビショビショで帰ってきたの。その時は三十分くらいで乾いたよ」


 葵さんは、優しく微笑みながらも有無を言わせないほど強引に私の手をひいた。


「濡れてたら穂香ちゃんのご両親も心配しちゃうかもしれないよね。大丈夫、これは遼也にもナツくんにも言わないから」


 私も大人になったら葵さんみたいに、こんな気配りできる人になれるのかなぁ?


 コインランドリーのトイレで葵さんから借りた大人っぽいワンピースを着た。

 今夜はナツくんの家にお泊まりする予定だったらしく、葵さんは惜しみもなくこのワンピースを貸してくれた。


 シックなデザイン。細いベルトがついていて……ちょっと借りるだけだからベルトなんてしなくていいのに、その金具をとめる。


 運動靴に大人っぽいワンピース。



 変なの……と笑って、私の制服を乾燥機にいれた葵さんを見た。



「これでよし! あ、穂香ちゃん、何か飲む? ここの自販機ホットココアがあるよ」



 
 
 
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