…TRIANGLE…
ナツくんと隼斗と遊びに来た水族館は休館で、海岸は冷たい風が吹いていた。
世界の全てが寂れてしまえ。淋しくて色褪せていて、なんてつまらない世界だと、皆が嘆いてしまえばいい。
私は冷たい砂の上に体育座りして目を閉じた。波の音が途方もなく繰り返される。
私がもしあの波になれたなら、永遠に同じリズムでこの冷たい砂を濡らすためだけに存在してればいいんだ。なんて楽なんだろう。
単調な作業だけを淡々とこなして、いつか消えてしまいたい。誰も知らないところで、消えてなくなるんだ。
「……穂香っ! 隼斗、穂香がいた!」
「え? ナツくん」
振り返ると、ナツくんと隼斗が走ってこっちに来ていた。二人とも砂に足をとられながら、走りにくそうに、だけど必死な顔をしている。
「来ないでよ! ナツくんも隼斗も嫌い!」
大嫌いだ。
ナツくんを好きにならなければ、隼斗と付き合わなければ、こんなに傷つくことも学校で虐められることもなかった。