…TRIANGLE…

「なにいじけてんだよ! 穂香」


 隼斗が私を叱りつけるように怒鳴った。


「いじけてるわけじゃない! 私の気持ちなんて二人にはわからないでしょ! もう私にかまわないでよ!」


 人気者で、バスケもうまくて、優しくて、ヒーローになれちゃう二人には、私のことなんて何もわからない。

 居場所がないんだよ。もう学校にも、家にも、幼なじみの仲良し三人組にも戻れないんだ。


 美咲だって私を利用しただけだし、亜理沙ちゃんなんか最初から私のことをずっとからかってた。


「そんなわけにいかないだろ、穂香来いよ」


 ナツくんが、ふっと微笑んで手を差し出す。


 その手を掴めるわけがない。



「行かないよ、帰って二人とも……」




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