…TRIANGLE…
教会の中は、まだほんのりと暖かく蝋燭がともっていて、真っ白な生花が誰もいないのに飾られたままだ。
木の長椅子に座ると、穂香もだまってその隣に座った。
耳がきんとするほど静かで、神聖で、隣のいるのが穂香でちょっと緊張する。
「葵さん……素敵だったなぁ」
葵さんも綺麗だけど、俺には今隣にいる穂香のほうが綺麗に見えるんだ。
「穂香。俺もさ、いつか兄貴みたいに結婚する時が来たら……その時は……」
「その時は?」
穂香の瞳がいっぱい俺を見てくる。誰もいないのに、真っ白な花が聞いてるんじゃないかと思ったら急に恥ずかしくなってきた。
「別に!」
「なにそれ、ナツくんが話してきたんじゃん。もう……」
視線をそらして前を見た穂香に強引にキスをする。
「な……っ?」
ポニーテールの後頭部にそっと手をそえた。大切な幼なじみで、世界一大切な女。