…TRIANGLE…

「うん……私、ナツくんが好きだった……ずっと、好きだった」


 水をかけられて軽い女と罵られた時の恐怖を思い出す。


『穂香って軽い女なんじゃない?』『幼なじみって立場利用して、すごいことするよねー』『だから、隼斗にシカトされてるんだ』『汚いよね、狡い女』



「ごめんなさい……美咲。私、言えなくて……」


 怖かった。せっかくできた女の子の友達を失うのが……よくわからず、私ずっと嘘をついてた。

 それなのに、自分の気持ちだけ成就させて、また美咲に黙ってた。


「ううん、やっと言ってくれた」


「ごめん。本当にごめん……」


「もう、いいよ! 泣かないで、そりゃちょっとは悔しいよ。私も本気でナツくんが好きだったからさ、でもさ……それより一緒に帰ろ! ねえ、寄り道していかない? 寒いけどソフトクリーム食べに行くとか」


 気持ちがうんと軽くなって、私は美咲の提案にはじめて素直に頷けたような気がする。



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